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賃貸アパート・貸家の外壁塗装は修繕費か資本的支出か:国税庁の判定基準(20万円・3年・60万円・10%・30%の特例)、資本的支出の減価償却、自宅の塗装は経費にならない

公開 更新 次回更新予定 2027-05編集責任者 鈴木 章悟

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賃貸アパートや貸家の外壁塗装は、建物の通常の維持管理や原状回復のための支出なら「修繕費」として支出した年の必要経費になり、価値を高めたり使用可能期間を延ばしたりする部分は「資本的支出」として建物と同じ耐用年数(木造住宅用22年など)で減価償却します。国税庁は、名目ではなく実質で判定するとしたうえで、1件20万円未満かおおむね3年以内の周期の修理、または区分が明らかでない金額が60万円未満か前年末の取得価額の10%以下なら修繕費にできるという形式基準を示しています。これらに当たらなければ、支出の30%と取得価額の10%の少ないほうを修繕費にする特例があります。自宅の外壁塗装は必要経費になりません。

目次
  1. 修繕費と資本的支出の違い
  2. 形式基準:20万円・3年・60万円・10%
  3. 資本的支出にした場合の減価償却
  4. 自宅の外壁塗装は必要経費にならない
  5. 自宅の塗装で税の軽減はあるか
  6. よくある質問
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修繕費と資本的支出の違い

国税庁のタックスアンサーNo.1379は、貸付けや事業に使っている建物などの修繕費で、通常の維持管理や修理のために支出されるものは必要経費になるが、資産の使用可能期間を延長させたり価値を高めたりする部分は資本的支出として減価償却すると説明し、「修繕や改良という名目によるのではなく、その実質によって判定します」としています。※1 所得税法施行令は、使用可能期間を延長させる部分と価額を増加させる部分(両方に当たれば多いほう)を必要経費に算入しないと定めています(第181条)。※2

区分 国税庁の例示 外壁塗装への当てはめ(編集部の整理)
資本的支出 避難階段の取付けなど物理的に付け加えた部分、用途変更のための模様替えなど改造・改装に直接要した金額、部分品を特に高品質・高性能のものに取り替えた場合の通常の取替え額を超える部分※1 塗装に合わせて外壁材を高性能品に張り替える、断熱材を追加するなど、建物の性能を上げる工事
修繕費 固定資産の通常の維持管理のため、または災害等でき損した固定資産の原状を回復するために要した部分(所得税基本通達37-11)※3 劣化した塗膜を同程度の塗料で塗り替える、ひび割れやシーリングを補修する工事

通達の例示に「外壁の塗替え」そのものは挙げられていません。同程度の塗料での塗り替えは原状回復に当たるという考え方が一般的ですが、グレードの高い塗料に変える場合や、塗装と同時に別の改良を行う場合は、資本的支出に当たる部分が出ることがあります。判断に迷う金額は、次の形式基準で整理します。

出典:※1 国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」、※2 e-Gov法令検索「所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第96条・第127条・第181条」、※3 国税庁「所得税基本通達〔資本的支出と修繕費等〕37-10〜37-15の3」

形式基準:20万円・3年・60万円・10%

国税庁は、資本的支出か修繕費か明らかでない場合でも、次のいずれかに当たれば修繕費として必要経費にできるとしています。※1

  1. おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理・改良であるとき、または一つの修理・改良の金額が20万円未満のとき(所得税基本通達37-12)
  2. 一つの修理・改良の金額のうち資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある場合で、その金額が60万円未満のとき、またはその資産の前年末の取得価額のおおむね10%相当額以下であるとき(同37-13)

これらに当たらない場合は「資本的支出と修繕費の区分の特例」(同37-14)があり、継続して、その金額の30%相当額と固定資産の前年12月31日における取得価額の10%相当額のいずれか少ない金額を修繕費、残りを資本的支出として確定申告しているときは認められます。※3 法人(法人税)も同じ基準で、法人税基本通達7-8-3〜7-8-5とタックスアンサーNo.5402に同じ数字があります。※4※5 耐用年数を経過した建物の修理でも判定は同じです(同37-15の2)。※3

例(木造アパート、取得価額2,000万円、外壁塗装150万円、区分が明らかでない場合) 判定
20万円未満か 該当しない
60万円未満か、取得価額の10%(200万円)以下か 150万円≦200万円なので該当。全額を修繕費にできる
取得価額が1,000万円の場合 10%は100万円で150万円は超える。特例を使うなら、150万円×30%=45万円と取得価額の10%=100万円の少ないほう45万円を修繕費、105万円を資本的支出にする方法がある

表は国税庁の基準を編集部が当てはめた計算例です。実際の処理は税理士や税務署に確かめてください。

出典:※1 国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」、※3 国税庁「所得税基本通達〔資本的支出と修繕費等〕37-10〜37-15の3」、※4 国税庁「法人税基本通達 第8節 資本的支出と修繕費」、※5 国税庁「No.5402 修繕費とならないものの判定(法人税)」

資本的支出にした場合の減価償却

資本的支出とされた金額は、その建物と種類および耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとして、資本的支出の金額を取得価額として減価償却します(所得税法施行令第127条第1項)。※2※6 建物の耐用年数は、住宅用で木造22年、木骨モルタル造20年、鉄筋コンクリート造47年、れんが・石・ブロック造38年、金属造は骨格材の厚さで34年・27年・19年です。※7 平成10年4月1日以後に取得した建物の償却方法は定額法のみです。※6 150万円を木造22年で償却すると、年に約6万8,000円ずつ経費になる計算です(編集部の計算。定額法の償却率0.046)。

出典:※2 e-Gov法令検索「所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第96条・第127条・第181条」、※6 国税庁「No.2107 資本的支出を行った場合の減価償却」、※7 e-Gov法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一(建物)」

自宅の外壁塗装は必要経費にならない

必要経費になるのは、総収入を得るために直接要した費用や業務について生じた費用です(所得税法第37条)。家事上の経費は必要経費に算入しません(第45条第1項第1号)。※8 自宅の外壁塗装は家事上の経費なので、どの所得の経費にもなりません。

自宅兼事務所や店舗併用住宅の場合は、業務の遂行上必要な部分を明らかに区分できる場合に限り、その部分を必要経費にできます(所得税法施行令第96条)。※2 通達は、業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかで判定し、50%以下でも必要な部分を明らかに区分できる場合はその金額を必要経費にできるとしています(所得税基本通達45-2)。※9 床面積の割合などで按分するのが一般的です。※10

出典:※2 e-Gov法令検索「所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第96条・第127条・第181条」、※8 e-Gov法令検索「所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第37条・第45条」、※9 国税庁「所得税基本通達〔家事関連費(第1号関係)〕45-1・45-2」、※10 国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」

自宅の塗装で税の軽減はあるか

  • 住宅ローン控除(増改築等):対象になる工事は、増築・改築、建築基準法の大規模の修繕・大規模の模様替え、一定の省エネ改修工事などで、工事費が100万円を超えることが要件です。大規模の修繕とは、壁・柱・床・はり・屋根・階段のいずれかについて行う過半の修繕・模様替えをいいます。※11 塗装だけの工事がこれに当たるかは国税庁のページに明示がなく、一般には該当しにくいと考えられます。工事を計画する段階で税務署に確かめてください。
  • 省エネ改修の税額控除:一般省エネ改修工事は、居室の窓の改修工事、またはそれと併せて行う床・天井・壁の断熱工事で、改修部位の省エネ性能が平成28年基準相当以上となる工事です。※12 窓の改修が前提なので、遮熱塗料や断熱塗料を塗るだけの工事は定義に入りません。
  • 省エネ改修の固定資産税の減額:窓の断熱改修が必須で、賃貸住宅でない家屋が対象、費用が60万円(税込)を超えることなどが要件です。※13 賃貸アパートは対象外で、塗装だけの工事も対象になりません。

自治体の補助金は税制とは別の制度です(外壁塗装の補助金、遮熱塗料の補助金)。

法令の記述は、2026年10月時点で有効な条文(e-Gov法令検索で確認)と国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)にもとづいています。個別の申告は税理士や税務署に相談してください。

出典:※11 国税庁「No.1211-4 増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」、※12 国税庁「No.1219 省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」、※13 国土交通省「省エネ改修に係る固定資産税の減額措置」

よくある質問

賃貸アパートの外壁塗装200万円は、全額その年の経費にできますか
同程度の塗料で劣化した塗膜を塗り替える原状回復なら修繕費として全額を必要経費にできます。資本的支出か明らかでない部分があるときは、60万円未満か前年末の取得価額の10%以下なら修繕費にでき、超える場合は支出の30%と取得価額の10%の少ないほうを修繕費にする特例があります。グレードを上げた塗料や同時の改良工事は資本的支出に当たる部分が出ます。
資本的支出になったら何年で償却しますか
建物と同じ耐用年数です。住宅用の木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年で、定額法で償却します。資本的支出の金額を取得価額として、新たに建物を取得したものとして計算します。
自宅の外壁塗装は確定申告で控除できますか
必要経費にはなりません。住宅ローン控除の増改築等は大規模の修繕・模様替えなど100万円超の工事が対象で、塗装だけの工事は該当しにくく、省エネ改修の控除は窓の改修が前提です。自宅兼事務所なら、業務に使う部分を明らかに区分できる場合に限り、その部分を必要経費にできます。

出典

  1. 国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1379.htm /確認日 2026-10-23
  2. e-Gov法令検索「所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第96条・第127条・第181条」(2026年10月時点で有効) https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096 /確認日 2026-10-23
  3. 国税庁「所得税基本通達〔資本的支出と修繕費等〕37-10〜37-15の3」(法令解釈通達(2026年10月閲覧)) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/07.htm /確認日 2026-10-23
  4. 国税庁「法人税基本通達 第8節 資本的支出と修繕費」(法令解釈通達(2026年10月閲覧)) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_08.htm /確認日 2026-10-23
  5. 国税庁「No.5402 修繕費とならないものの判定(法人税)」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5402.htm /確認日 2026-10-23
  6. 国税庁「No.2107 資本的支出を行った場合の減価償却」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2107.htm /確認日 2026-10-23
  7. e-Gov法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一(建物)」(2026年10月時点で有効) https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015 /確認日 2026-10-23
  8. e-Gov法令検索「所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第37条・第45条」(2026年10月時点で有効) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033 /確認日 2026-10-23
  9. 国税庁「所得税基本通達〔家事関連費(第1号関係)〕45-1・45-2」(法令解釈通達(2026年10月閲覧)) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/07/01.htm /確認日 2026-10-23
  10. 国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm /確認日 2026-10-23
  11. 国税庁「No.1211-4 増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-4.htm /確認日 2026-10-23
  12. 国税庁「No.1219 省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1219.htm /確認日 2026-10-23
  13. 国土交通省「省エネ改修に係る固定資産税の減額措置」(適用期限 令和13年3月31日) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001756030.pdf /確認日 2026-10-23
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